神経質な母が急に同じ話を何度もするようになった。

この記事に書かれていること
- ストレス緩和は心構えが肝心
- 認知症を最初に感じた
- 音信不通になりやすい人の特徴
急に変なことを言い出す
え? それ、笑っていいの?
そんなトラブルからはじまってマイナンバーカードを作りたい、言いだした母に「証明写真ある?」と聞きました。
母はあるよ、と探しに行き、見つけて差し出したのは、彼女の女学校時代の証明写真でした。
これって、冗談ですか?
笑って済ませようとしたのですが、母はしごく真面目な表情をしていました。
高齢者施設勤務のため、認知症を持つ人にはある程度慣れていました。
もともと数字には弱いタイプだったので、今日何日、お花に払った金額は?
といった質問に、大まかな数字をあげるのが普通な人でした。
振り返ってみれば、曜日の感覚は結構しっかりしていたので、日付や金額違い、予約の時間の覚え違いが、ぼちぼち半年前から出ていたと思います。
初めはゆっくりだから気が付かない。明るい性格だったから笑いごとで済ませていました。
認知症の症状
ちょうど勤め先で認定調査があり、利用者さんが調査員と面談するのを見る機会がありました。
「昨日は花見に行った、きれいだったよ、酒飲んだよ。いい日本酒だった。今度一緒に行こう!」
ちょうど花見の季節ではありましたが、彼が花見に行ったのは一年前のこと。
お酒は飲んでいません。彼の思い出は何年前のことなのでしょう。
横にいながら、母の証明写真の件が頭をよぎりました。

医師と予約をとったほうがいいのだろうか。仕事中にそんなことを考えてしまいました。
そして帰ると、訪問看護師の方から申し送りがありました。
ケアマネさんから驚きの報告を受けました
「今日のお風呂、洗身せずにお風呂に入ろうとされました」
潔癖症の母からは、考えられない行動でした。
その日のうちにケアマネさんにメッセージをいれてしまいました。「医者に診てもらいます。いいお医者さんをご存じないですか」
お医者さんとは、母はしっかり話していました。ただ、自分の年は20才ほど若く告げていたくらい。
その後いくつかの受け答えの後、軽い認知と判断されました。
数か月前に頭を打った時のCT があったので、医師からは希望すればCTで今の脳と比較ができる、と言われました。
希望薄な気がして、CT検査は断りました。
他人事なのか自分事なのかで疲労感が全然違う
他人のはなしなら何とかなるのです。
仕事の時、認知症の方と対応しながらつくづく思いました。
家族でないなら、トイレに何度行こうとされようと対応はできますし、声掛けも軽い気持ちで
「そうですか。お会いできて光栄です。とほやです。よろしくお願いします」と、もう何年も顔を合わせている利用者さんと、百万回であろうと自己紹介もできるものです。
けれど身内は。
元気なときを知っている母とは、きつかったです。
さっき言ったじゃない、また言うの?
この言葉が相手を傷つけることは仕事柄知っていました。
ここで押し問答しても何の解決にもならないことは仕事場で学んでいました。
実際に対応をしてきました。
けれど母に向かっては。
同じことまた繰り返して。
さすがに口には出しません。けれど心の中ではもう何十回も思ってはしまうのです。
元気なときを知っているだけにそこと比較してしまう自分に疲れました。
仕事上ではいくらでも使える省エネモードが、身内の前ではとてもとてもできなかったのです。
それから、これくらいはできるだろう、思ったことに失敗されると。
夜勤明けなどにそそうをされると、切れてしまいそうな自分がいました。
虐待になる。疎遠だった姉に連絡をとりました。
離れていても身内ということ、責任を分担するということ
疎遠というか、姉は姉で子育てと仕事で手一杯なのは知っていました。ただ、親のことですので、一応相談はしておきたかったのです。
施設にお願いしようと思うが、姉の意見はどうか。
お金がかかるので、家を売ればなんとかなると思いたい。この辺りもどう思うか。
相続等の話にもかかわるので、要点をまとめて連絡しました。
ひとりで解決できる問題でもありません。正直自分で決めるのが怖かったのもありました。
母の意見も聞きました。機嫌のいい時に、食事をしながら聞きました。
「独りよりも大勢と暮らす方がいい」
施設を探す方向に動きはじめました。
施設探しと月々の費用
場所は便利なところがいい。出来れば駅近、ちょっとした買い物などは簡単にできる所。
けれど何より、施設の状態が心配です。
ちょうど、施設の虐待が問題になっている時期でした。対応のいいところ、利用者としてのびのびと暮らしていける所、何よりも人手の足りているところ。
お金を出せばいい施設に入れる、というものではない。
求人広告を見て施設の良し悪しを判断
お金の動きから見ると、まずは雇用者にいくら払っているかを重視しました。
求人欄を見ればわかります。
あと、休日の日数が150以上あるところ、ボーナスがある程度保証されているところ。
介護界の口コミサイトもチェックしました。
自分が転職をするのか、と思うほど熱心に情報を追っている傍ら、姉の方は医療面でチェックをしていました。
眼科、耳鼻科から、外科、内科。病院と提携があるか
以前からかかっている病院と連携が取れるか
また、病院の行き帰りの送迎は有料かどうか
病院は基本、家族が同行するものですが、やはり急な搬送など施設で直接行えるところは迅速に対応してもらえます。
そこもポイントを置いて施設探しがはじまりました。
実際に施設を訪問する
健康状態がなんとかなりそうな施設はケアマネさんを通じてアポを取りました。
建物の明るさ、匂い、そして職員の雰囲気、部屋のサイズ、使い勝手、食堂の雰囲気などを見てもらいました。
ここの料理は三ツ星レストランのシェフが作っています!
と謡っているところで、ちょうど食事前に訪問することができました。
準備OK、利用者さんを呼びます! というタイミングで大音響でBGMが流れ始めました。
耳の遠い利用者さんへの配慮でしょうか。
食事は会話で楽しむもの、と思っていたわたしにはアウトでした。
消毒薬の匂いがきつすぎる施設は、日時をずらしてもう一度訪問して見ました。きつすぎて最終的には他の施設を選ぶと思います。
認知症と言ってもまだまだ軽い状態です。
アクティビティの頻度もあればいいな、と思っています。
終の棲家にもなるかもしれない施設、一度お試しで入って、契約して、それからどうしてもダメならもう一度選び直す覚悟はあります。
お金はかかるのでできれば他に同系列の施設を持っているところ、今、そういった施設を探しています。
訪問は、もちろん母と一緒です。